基本理念

地に足をつけ越後妻有地域の一人ひとりが
より豊かになることを目指します

スローガン

向上心

はじめに

 日本人に生まれて本当によかった。新潟県のこの地に生まれて本当によかった。日を追 うごとにその思いが強くなっていることを実感します。しかし、それが芽生え始めたのは Uターンしてきた10年前の頃からであったと記憶しております。地元を離れている間は 都市部との比較による少子高齢化問題や雪との闘い、経済的な視点から、この越後妻有に 対してはあまり希望を持てず、ただ単に「18歳まで生まれ育った故郷」という認識でし かありませんでした。しかし、28歳の時に十日町青年会議所(以下、十日町JC)に入 会し、暖かくも厳しい先輩たちや同年代の仲間との活動を通じて、様々な人と出会い勉強 させてもらうことで地域についてより考えるようになり、次第に郷土の魅力を感じるよう になりました。

 十日町市・津南町からなる越後妻有地域は米どころとして知られておりますが、越後妻 有地域のみならず私たちの国、日本において基礎である米をはじめとする農耕文化は大変 重要な意味を持つことにも気付かされました。それは運命共同体という概念です。農耕文 化は協調性や助け合いの精神が発達していないと成り立ちません。狩猟文化を否定するつ もりはありませんが、狩猟文化ではより多くの狩りに成功したものが英雄となり、人々か ら称賛されます。狩りが上手いほど生き物がいなくなります。そして狩りによってその地 に生き物がいなくなると次の狩りのために土地を探し移動する。つまり、「奪う」のです。 しかし、農耕文化においては農作物に水を与え、栄養を与え、育ててからその命をいただ く。そして、翌年のために種を確保し、また水や栄養を与えて育てることから始める。天 候の影響を受けやすい農業で生きていくことは一人の英雄によって保障されるものではな く、先人の一人ひとりが協力し合い助け合いながら先を見据えて生きてきたからこそ、こ の日本という国は一度も滅びることなく続いているといえます。

 私たちは家族、行政区、市町村、県、日本という大小あるコミュニティの中で生きてい ます。そのことを忘れずに世界最古の歴史を持つ祖国に誇りを持ち、この私たちの生活基 盤である越後妻有地域がより豊かになるようにいま何ができるかを考え、行動する必要が あります。

【経済と政治の関係性と豊かさ】

 1997年をピークに実質賃金が下がり続け、いまだデフレから完全に抜け出せずにい る日本経済。地方の経済もその影響を受け続けており、所得を求め地方から首都圏への若 い人材の流出が止まらない状況が続いております。十日町市や津南町においても例外では なく、その人口流出に歯止めをかけようと行政や民間においても様々な施策が考えられ実 行されていますが明確な答えが無いというのが現状ではないでしょうか。 2018年6月に内閣から発表された骨太の方針2018には「『 現役世代の不安等に対応 し、個人消費の拡大を通じて経済活性化につなげる』ために2019年10月1日に消費 税を10%に引き上げる必要がある。」という内容の記載がありますが、1997年の3% から5%、2014年の5%から8%への増税の結果、現役世代の不安が解消し、消費が 伸びてきたのでしょうか。そして経済は成長しているのでしょうか。また、近年地震や豪 雨災害でたくさんの命が奪われており、その報道を見る度に辛く苦しい思いをいたします。 国民の命を守るためである河川の堤防の整備など地方の建設業に直接関わる公共投資も十 分に行われていないのではないかと疑問を感じざるを得ません。そして、医療介護などの 福祉においても2018年5月に診療報酬・介護報酬の改定があり、微増となりましたが、 国民が安心して暮らしていくためには果たしてそれで十分なのか。恐らく医療や介護の当 事者でない方はそれほど危機意識を持ち合わせていないと推察します。いずれにせよ、私 たちは私たち自身が諸問題の当事者であるか否かを問わず様々な課題に対し真摯に向き合 い解決策を模索し、この地域がより豊かになるための運動を展開します。

【防災意識を忘れず安心感豊かな地域づくり】

  私たちの国、日本は世界の国土の0.28%の大きさしかないにも関わらず、世界で発生 するマグニチュード6.0以上の地震の内、20%が発生するという地震大国であります。 また、台風被害や大雨による土砂災害は毎年のように大きな被害をもたらしておりますし、 冬期間は大雪による交通網のマヒなど、1年を通して全国各地で様々な自然災害が発生し ております。私たちは時に美しく、時に残酷なまでの被害をもたらす自然に対して向き合 い、一人ひとりの命を守るために備えをしておく必要があります。

 2014年に十日町JCと社会福祉法人十日町市社会福祉協議会、特定非営利活動法人 セーフティネットぼうさいの3者で締結した越後妻有防災ネットワーク協議会は毎年地域 住民を対象に防災への意識喚起のための活動をしており、参加したこどもへの意識喚起が 効果的なことから、保護者の皆様からも高い評価をいただいております。「いま」災害が発 生した際に自分の命は自分で守る意識、そして災害時にいち早く地域住民のために動くの は自衛隊でも中央政府でもなく地域住民自身であるということをこどもたちに伝えることがこの地域にとっても有意義であると考えます。この防災活動を通じてこの地域の生活がより安心感豊かになる運動を展開します。

【十日町雪まつり】

 十日町雪まつりは昭和25年2月4日に第1回が開催され、今年で70回という節目を 迎えます。冬の間、生活に重くのしかかり負担である雪に対し、「雪を友とし、雪を楽しむ」 という住民の自発的な思いのもと、この雪まつりが始まりました。 この第1回は十日町文化協会の主催で雪像などの芸術展や雪具供養の火の周りで十日町小 唄を踊る雪中カーニバルやスキー駅伝大会などが主なイベント内容で、日本で最初に住民 が主体となって雪まつりを行ったことから、十日町市は、「現代雪まつり発祥の地」として 知られています。

  第1回から69回までの間に時代の流れと共にその規模も大きくなり、現在ではカーニ バルが行われる城ヶ丘ピュアランドの雪像ステージの壮大さは圧巻の一言に尽きます。ま た、メイン会場だけでなく各地域の雪像は非常に質が高く地域内外の人の感動を誘います。 こうして毎年大勢の人で賑わうこの雪まつりは多くの人に愛されてきました。

 そんな中、私たち十日町JCも原点である「雪を友とし、雪を楽しむ」ことを念頭に置 き、1975年から十日町雪まつりのメインひろばであるコミュニティひろばの主管を先 輩諸氏から受け継いでまいりました。今年も各関係者と連携し、感謝を忘れずに、私たち も笑顔豊かに、そして心豊かに楽しみながら来場者に楽しんでもらえるようなコミュニテ ィひろばを運営してまいります。

【相撲を通じた青少年の育成】

  日本が高度成長期の頃、こどもが好きな対象として表現した「巨人、大鵬、たまごやき」 という言葉が流行していたそうです。そして約30年前、私がこどもの頃は野球が盛んで 少年野球のチームもたくさんあり、夏休みには毎日早朝から練習していた記憶があります。 1993年にはJリーグ開幕をきっかけにサッカーの競技人口が増え、そしてバスケット ボールも人気マンガの影響もあり競技人口が増えました。また、4年に一度のオリンピッ クにおいて日本人選手が活躍する種目なども注目されるようになりました。このように日 本のスポーツ界において、様々な種目が知られ、また取り組まれるようになってきたと感 じております。私たちの国には相撲という競技があります。古くから伝わる相撲は根強い 人気がありますが、多種多様なスポーツが普及したこともあり、高度成長期に比べてその 人気も薄れてきております。

 しかしながら、相撲は神事でもあることから、礼節を学べる競技であり、また身体一つ で行なう競技であるため心技体の充実が特に必要となります。そのことからも相撲はこど もの頃に経験する重要性を持ち合わせたスポーツであるといえます。試合における心構え や礼節などの「心」、相手と対峙し取り組みの中でどのように勝つか手法を考え動きに繋げ る「技」、そして下半身をしっかりと地につける重要性や怪我防止につながる身体の柔軟性 などの「体」が学べます。

 こどもの頃に相撲を経験することで心技体が体感でき、その後、どのスポーツに取り組 む際にもその経験が活きることから、わんぱく相撲を通じて多くのこどもたちに相撲を体 験していただき、健康で心豊かな地域に繋げます。

【活動の発信と会の円滑な運営】

 「青年会議所しかない」という時代ではなく「青年会議所もある」という時代のいま、 青年会議所は地域で活動している様々な団体のうちのひとつであります。各団体はそれぞ れの特色を活かし、まちづくりのための様々な活動をしております。時には事業の中で私 たちと連携し協力し合いながら地域の発展のために共に活動を展開しております。しかし ながら、数ある団体の中で62年の歴史を持つ十日町JCは特別な存在であります。その 理由の一つとして40歳までという若さ故、情熱ある運動は常に地域から期待され注目さ れてきました。より良い運動のためには地域から理解を得ながらいまの十日町JCにはど んな人が所属して、地域のためにどんな想いで、どんな活動をしているのかを発信し、会 員やその活動を知ってもらう必要があります。 また、JAYCEEは限られた時間を有効に使い活動することが重要であるため、円滑な 運営が必要です。総会・例会・理事会を滞りなく設営・運営し会員に有意義な時間を提供 することで実り豊かな会に繋げます。

【会員の増強】

 こどもから大人になる区切りとして使われている「成年」とは現法では20歳以上の人 を指します。同じ読み方の「青年」には様々な定義がありますが、「青」という字が使われ ており、この青年において青は「未熟な」という意味で使われているそうです。われわれ 青年会議所の会員は成人ではあるものの、まだまだ未熟なところもございます。私たちが 住み継いでゆくこの地域社会の中心的存在になる40歳代になるまでの期間に私たちは何 ができるでしょうか。また、何をするべきなのでしょうか。 全ての人に平等に与えられている『時間』という原資を投じる対象は人それぞれの価値観 によって異なります。20代30代の時に溢れる力を注ぐ対象を「単なる楽しむ趣味」で はなく、仲間と切磋琢磨しながら「より良いまちづくり」を考え、行動することが個人に とっても、そして越後妻有地域にとってもより良い将来へ繋がると私は信じております。 近年、毎年のように少子高齢化問題が叫ばれておりますが、私はこれを若者にとって絶好 のチャンスと考えております。少子高齢化とは出生率の低下と長寿命化によって若者の人 数に対して高齢者の数が多くなることです。つまり、必ず起こることは「人手不足」によ り若者の活躍の場が増えるという現象です。私たちのような働く世代が人材として成長す ることにより仕事においても地域活動においても「人財」としてこの地に貢献できるもの と考えます。 孔子の論語において「四十にして惑わず」という言葉がありますが、四十歳までに得た経 験と知識が豊富にあればその後、様々な困難に惑うことなく乗り越えられる。そう捉える こともできます。また、一説によると孔子がいた時代には「惑」という文字がなく、「或」 であったために「四十にして或 くぎ らず」、つまり、型にはまらずに40歳を過ぎたらこれまで の経験を活かし新たな舞台で羽ばたくという意味であるとも言われております。 いずれにせよ、40歳というものが一つの節目であることから、20代30代の時間を様々 な経験ができる青年会議所という舞台で過ごし、成功や失敗を含めた学びを蓄積し、自分 自身を高めることが会社や地域の発展にとって大変重要ではないでしょうか。 会員の増である会員拡大、そして向上心から成る会員の強化、この会員の「増・強」を通 じて越後妻有地域の将来の豊かさに繋げます。

【結びに】

 1949年、戦後の混沌とした時代背景の中、責任感と情熱を持った有志の青年たちによ りはじめて青年会議所の前身である東京青年商工会議所が設立されました。それから70 年という年月が経つことになります。当時は戦後という状況下で敗戦国としていまでは想 像もつかないような環境で生きてきた先人の苦労の上に私たちは生かされている事実を決 して忘れてはなりません。JCにおいても社会においても先人からの恩恵を受けてきた私 たちは青年経済人として、JAYCEEとしてこれからの越後妻有地域の豊かさのために 修練・奉仕・友情の三信条の下、向上心を持ち、活動を通じて様々な経験から学び続ける 必要があります。そしてその学びからひと回りもふた回りもたくましく成長することは間 違いありません。そしてそれは自身、家族、会社、まわりの人のためになります。 さあ、共に成長しよう。私たちが暮らすこの地域が豊かになるために。

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